デパス(ベンゾ系睡眠薬)が導く不眠と体調不良

今日は、デパスがなぜ不眠体調不良を生じさせるのかを考えてみたいと思います。

【デパスによる不眠と体調悪化】

まずは、デパスによる不眠悪化と体調悪化について、僕の実体験から話します。デパスに代表される睡眠薬を服用した8年間、僕の身体に何が生じたかを時系列に簡単にまとめます。本当にざっくりですが、だいたいの流れは以下のようになります(詳細については、別途まとめます)。

2011〜2014年 睡眠薬の常用量を増やす、又は眠剤を変えないと眠れなくなる。

2015年 眠剤を飲んでも短時間しか眠れず、断続的に軽い体調不良(軟便、めまい、食欲不振と吐き気)

2016〜2017年 眠剤を飲んでも2時間しか眠れず、絶不眠日が週に2〜3日。常時体調不良(慢性的に便秘か下痢、めまい、吐き気、食欲不振)

2018年7月まで 眠剤を飲んでも眠れない日が週半分。体調は絶不調(肩と首の極度の硬直、便秘の状態化、めまい、吐き気、食欲不振、アカシジア、絶望など)

僕は、今年の7月28日まで、デパスがこんな症状を発症させているとは全く気づきいていませんでした。僕が感じていたデパスの作用は、「筋肉の緊張を短時間ほぐし、入眠促進させる」というものでした。だから、もしデパスを減薬・断薬したら、おそらく「眠れなくなる」としか考えていませんでした。減薬前に認識していた不眠や体調不良についての認識は:

 

不眠 → もともとの体質や加齢による入眠障害が常態化している

体調不良 → 不眠と加齢

と自己診断していました。また、医者も同じようなことを診察の中で説明していました。僕が最後に通院していた睡眠外来専門医師は、僕と同年代だったので、

「この年齢になると、なかなか入眠できないのは皆さん、同じですよ。若い時のように溶けるように眠れることはないし、それは睡眠薬を使っても治りませんよ。そういうものだと思うしかありません。」

などと、今思い返すと本当にいい加減なことを言っていたなあと思います。僕の不眠も体調不良も貴方が処方している薬のせいですよと言ってやりたいです。

【不眠と体調悪化の原因】

僕の場合、多くのベンゾ系睡眠薬を8年間服用し続けましたが、おそらく一番服用が長かったのはデパスとハルシオンです。そして、実験的に、短期的に薬を大幅(33%〜50%)に断薬して離脱が激しかったのがデパスでした。僕の場合、ハルシオンの減薬は入眠ができなくなるだけで、減薬翌日に感じられるような離脱は殆どありませんでした。

一方、デパスは減薬翌日に、酷いめまい、ふらつきと不安(悪い意味でのドキドキ?)を感じました。この体験より、不眠についてはわかりませんが、現在の体調不良の原因の大部分はデパスの服用に関係しているのではないかと直感的にわかりました。なぜなら、デパスを抜いただけで、これだけめまいがするのです。その時点では、しくみはよく理解していませんでしたが、直感的に「デパスは、神経や脳にかなり強い作用を及ぼし、不自然にバランスを取っているのだ」と感じました。そして、おそらく、これはめまいだけではなく、僕が感じている体調不良の多くがこのデパスに関係しているのではないかと、すべてが繋がったような感じがしました。思った通り、デパス減薬数日後から、めまいは軽減され、便秘も解消され、味覚が戻り、食欲が戻ってきました。食欲がでたのは、実に2ヶ月振りで感激しました。それからは、下痢もしなくなりました。

では、デパスが、いかに不眠を悪化させ、体調不良を生じさせるのでしょうか?

それは、デパスの副作用服用間離脱耐性離脱の3つが原因として考えられます。ベンゾ系の中でもデパスは、半減期が4時間と短く、他のベンゾ系睡眠薬より、離脱症状がより深刻化しやすいのだと考えます。

1つ目は、副作用です。副作用は、デパスの主作用と同時に出る作用で、ある意味、作用の一部といってもいいかもしれません。デパスの副作用としては次のようなものが挙げられます。

眠気ふらつき倦怠感眩暈歩行失調頭痛頭重言語障害口渇悪心

しかし、これらはある一定期間に報告された製薬メーカーが公表している(したい)情報であり、信用することはできません。ネット上のデパス依存患者の記録からは、数えきれない症状が報告されています。

僕自身も様々な体調不良を経験しています。デパスの依存患者は、おそらく、どの症状が副作用で、どの症状が離脱症状かを明確に把握している人は殆どいないと思います。僕の場合、服用間離脱を避けるために、1日1回復用していたデパスを減薬後は、4回に分けて服用しています。そのため、服用回数を増やした時点で、離脱症状は、緩和することが考えられます。つまり、服用回数を増やしても残っている症状が副作用の可能性が高いわけです。

上記から推定すると、僕の場合は、おそらく、慢性的な便秘と下痢、喉のぶつぶつ、めまい、ふらつき(歩行失調)、倦怠感、火照りなどが副作用だったと思われます。

デパスの副作用は、様々な身体機能に影響があり、神経伝達機能に障害が及ぼします。

2つ目は、服用間離脱です。服用間離脱とは、デパスの服用と服用の間に離脱症状が発生することをいいます。投与離脱は、デパスのように半減期が短く、服用を頻繁にしていない場合、1日1回のみ就寝前服用したいた場合などに起こります。

僕の場合、減薬前は就寝前にデパスを1日1回服用していました。そのため、デパスの血中濃度が低くなる起床後から就寝直前まで離脱症状が悪化していました。服用間離脱で、特に辛い離脱症状は、肩と首の硬直で、これは耐え難いものがありました。肩の硬直と言っても、単なる肩凝りではありません。何か首から肩にかけて、つっかえ棒が入っているようにパンパンに張ってしまい、動かすとパキパキと音がします。最も酷い時は、首や肩が切れそうで、怖くて動かせませんでした。

この酷い首と肩の硬直が、デパスを複数回服用することで、即効で、かなり軽減しました。1日を通してデパスの血中濃度が安定したために、離脱症状が軽減されたのだと理解しています。

服用間離脱を軽減する一番良い方法は、デパスの複数回服用です。僕の場合、減薬を続けながら、デパスを4回に分けて、就寝前、8時、12時、3時に服用し、1日の血中濃度を安定化させています。これで、日中悪化する離脱症状は、かなり楽になります。服用間離脱は1日の中でデパスの血中濃度が不安定になることから生じる体調不良なのです。

3つ目は、耐性形成による離脱症状です。耐性とは、脳の受容体が常用量に適応してしまうと、同様の作用/効果を得られるのに更に多くの薬量が必要になることを言います。僕の経験では、ベンゾ系眠剤の適応期間は、1〜4週間くらいだと思います。僕の場合、デパスは2〜3週間で効果が薄れ、2ヶ月で効果がなくなります。8年間という長い間、耐性ができると、デパスを含めた眠剤の増薬、変薬、組合せで8年近く、脳と身体をごまかし、不眠症を悪化させていたのです。

耐性が形成された症状として最も顕著だったのは、やはり不眠悪化です。もしかすると、他の症状も発症したいたのかもしれません。しかし、「入眠できない」「眠れない」という症状のインパクトが大きすぎて、他の症状はよくわかりませんでした。また、耐性は時間経過とともに少しづつ形成されるものなので、他の症状が悪化していたとしても本人は気づきません。本人にとっては、他の症状は、不眠が原因の体調不良くらいにしか感じられないのです。

不眠の他に、1つだけ、もしかすると耐性による症状なのかなあと感じているのはアカシジアです。アカシジアとは、デパスを含むベンゾ系眠剤が引き起こす最悪の症状で、最悪の場合、患者を自殺に追い込みます。アカシジアを一言で表現すると、「不安と身体全体の痛さで、じっとしていられない症状」です。具体的には、焦燥、不安に苛まれ、息切れ、不安、いらいら感、不穏感で、意味もなく徘徊し続け希死念慮に取り憑かれます。ちなみに、僕はアカシジアになった後に、生まれて初めて「アカシジア」と「希死念慮」という言葉を知りました。

デパスを飲み続け、耐性が形成される度に増薬、変薬を繰り返していくと、最後には何をしても眠れなくなり、デッドエンドに追い込まれます。僕にとっては、それが2018年2月〜5月でした。この時期は、就寝前の服用をデパスを1.5〜2mgの増減を繰り返していました。デパスの常用上限は、1.5mgだったと思いますが、それを承知の上で、自分ではどうしようもなかったのです。

この時、僕の脳の受容体は常用量に適応してしまい、同様の作用/効果を得るために、より多くのデパスを欲していたのだと思います。そして、デパスが増量されず血中濃度が満たされない状態が、禁断症状として現れたのがアカシジアだったのではないかと推測しています。この件に関しては、あまり自信がありません。アカシジアは、8年間の不眠症闘病期間の中で1度しか経験がありません。しかし、あれは明らかに身体が病的に何かを求めている禁断症状でした。

耐性が付き「眠れない」と、服用量を増量しないと眠ることができません。眠るために、またデパスを増量する。しかし、この処置は、今考えれば単なる時間稼ぎでしかありません。増量した2週間後、また耐性ができ、デパスを増量しなければならないからです。これが、「デパスの魔のサイクル」なのです。

以上、デパスが不眠と体調悪化を起こすメカニズムとして、副作用、服用間離脱、耐性形成の3つを挙げました。これらのデパスの作用により不眠、体調不良の元となり、悪化していきます。そして、8年間、不眠のために13回病院を変え、様々な治療を行いました。その他にも漢方生薬、鍼・灸、電気治療、マインドフルネス、ヨガ、ビタミン治療、食事療法など様々な治療法を試みましたが、全く不眠にも、体調不良にも効果がありませんでした。そして、2018年7月28日、減薬・断薬に辿り着きました。

そして、現在デパス減薬中ではありますが、体調も不眠も徐々に快方に向かっています。そして、僕の場合は、デパス減薬以外には、不眠や体調不良改善に、明確且つ持続的な効果が無いというのが結論です。

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