アッシュトン マニュアル

イギリスの精神科医ヘザー・アシュトン(C.Heather Ashton)が、ベンゾジアゼピンの作用、副作用、離脱症状、減薬法などをまとめたマニュアルで2001年に初版されている。日本語版は、2012年に初版がインターネットで公開されているので参考にしてもらいたい。

僕は、不眠症の治療に疑問を持った3年くらい前から、不眠症治療の本を読み漁った。おそらく、雑誌もいれたら全部で30冊くらいは読んだと思うが、減薬・断薬の実践には、どれも殆ど役に立たなかった。その中で、アシュトンマニュアルは数少ない減薬・断薬を決意させ、しかも減薬実行時に参考になった文献である。特に、減薬や断薬後に生じる離脱の種類、メカニズムなどについて詳しく書かれているので、離脱が生じた時に自分た体験していることが特別なことではなく、治癒過程で通らなくてはならない症状なのだということが確認できたことは大きな心の支えになった。

アシュトンマニュアルについて担当医に話すと、おそらく、良い顔はされない。僕の担当医は、減薬・断薬を思い立った理由として、アシュトンマニュアルのことを言うと「アシュトンマニュアルですね。知ってますよ。医学的な立場から言うと、眉唾な部分が多いんですよね。」と言って真剣には聞いてくれなかった。これは、セカンドオピニオンをもらう他の精神科医も全く一緒だった。ネット上でも、同じような話が見つかるので、一度ブログなどを検索してみるといい。

これは、当然といえば当然だ。アシュトンマニュアルは、不眠症や精神疾患への長期薬剤治療を否定している。しかし、日本の精神医療は、ほぼ100%が薬漬け治療だ。アシュトンマニュアルを肯定してしまったら、今までの治療はなんだったのか?ということになる。つまり、医者が自分を自己否定しなければ、アシュトンマニュアルを認め、そこに書かれていることを実践などはできないのだ。だから、私の担当医のような感想を言って、素知らぬ顔をして、「なんか、精神安定剤を処方しておきますか?」などと、ここまで来て、平気で向精神薬を勧めてくるわけだ。

しかし、アシュトンマニュアルがすべて正しいと私は思っていない。例えば、半減期が短いベンゾを置換して減薬する方法をアシュトン氏は提案しているが、僕はお勧めしない。薬の置換を自分自身が経験して、どれほど辛いか知っているからだ。それよりは、半減期が短い薬を分散服用したほうが身体に与える影響を最低限にして減薬ができる。

こういう小さな減薬TIPSは、どんなに偉い医者より、一般の不眠症患者の方がよく知っているものだ。そういう減薬実践面でのノウハウ的なことをアシュトンマニュアルに期待しないほうがいい。

それよりも、アシュトンマニュアルで、読み取ってもらいたいのは以下の点である。

  1. ベンゾジアゼピンはGABA受容体に何をするのか?
  2. ベンゾ依存を起こすしくみ
  3. 離脱症状の種類
  4. 減薬の方法とラフなスケジュール

これらを大まかに押さえたら、断薬の意思決定にアシュトンマニュアルを役立てられるはずです。マニュアルの中で、減薬の準備として適切な医師・薬剤師に相談でき、家族や友人など心理的なサポートがあることを確認するとありますが、これがあればマニュアルなど必要ないと思います。減薬段階での心の支えや具体的な方法については、ネットの仲間に頼ることになるだろう。

薬漬けになるか、断薬して眠剤フリーになるか? まずは、アシュトンマニュアルを一読してみよう!

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