離脱は意外に気づかない

離脱はこれ程、痛く、辛いのに、常用時は案外と気づかないものだ。

僕の場合、睡眠薬常用時の7年間は「離脱」らしきものに感じたのは反跳性不眠くらいのものだった。しかも、離脱という言葉も概念も知らず、耐性が出来て薬が効かなくなったとしか思っていなかった。それでは、肩の痛み、消化器系不調、精神的不安定などは、生じていなかったのか?

いや、おそらく離脱は起きていたが離脱として認識していなかったのだ。しかし、これ程酷い離脱なのに離脱と気づかないことなどあり得ないだろうと今は思う。しかし、当時をよく思い起こすと、実は結構辛い思いをしていたかもしれない。では、なぜ離脱に気づかなかったのだろうか?僕が考えるに、離脱に気づかない原因は大きく3つある。

1つ目の原因は、ベンゾを常に増薬、変薬しながら離脱の発症を抑えていたからだ。今考えてみると、通院してから、しばらくは調子が良かったが、次回の通院間近になると体調が悪かった。肩が硬直し、便秘になり、そわそわしたり不安になることも多かった。多分、あれは常用離脱だったのだ。

そして、増薬、変薬して、体調が落ち着く。ベンゾを強くして、睡眠が取れるようになるのと、体調がよくなるのが同期しているように感じてしまう。だから、やはり不眠が体調不良の原因なのだと、頭と身体で納得してしまう。この繰り返しで離脱が起きても、離脱と気づかないのだ。

2つ目の原因は、離脱症状の進行があまりにも緩慢且つ散発的だからだ。離脱は、ある日、一気に生じたように思えた。僕にとって、最初に体調の急変を感じたのは昨年の2月に向精神薬を一気断薬した時だ。あの時は、離脱という言葉すら知らず、体調が急激に悪化したとしか思わなかった。しかし、睡眠とは全く関係なく、一気に様々な不調が同時多発的に生じたので、これは睡眠ではなく、断薬のための体調不良だと初めて気づいたのだ。

しかし、それ以前は離脱が発症していることは全く気づかなかった。それは、おそらく、離脱の進行があまりにも緩慢であり、散発的であるからだろう。睡眠薬を常用してから最初の7年間の記録は殆ど残っていない。記憶を辿って、離脱らしき症状を挙げてみると、肩から背中にかけての痛みは、2011年から散発的に生じていた。しかも、進行が非常に遅く、冬になると度々起きていたので、加齢による凝りだと思っていた。しかも、ずっと痛いわけではなく、1ヶ月くらいで消えることが多かった。カイロプラクティクに4〜5回通えば例外なく治っていた。しかし、2017年頃にどこだか確か背中が痛くて6ヶ月くらいカイロプラクティクに通ったことがあった。あの時は、それまでとは違う何かを感じ、整形外科にも行ったが、「蛇背」だと診断され、治癒できないので、痛みと付き合いながら生きていかなければならないと言われがっかりしたのを覚えている。精神科医だけで十分なのに、整形外科も、とんでもない、誤診である。

また、便秘や下痢も過去3年くらいは、日常になっていた。僕は痩せ型で便秘などしたことがない。ところが、便秘と下痢を短い期間で繰り返すようになり、それがだんだん長期化して、最終的には慢性便秘になってしまった。これも3年をかけて、短い快方期を挟みながらだんだんと悪くなっていった。同時に、睡眠もだんだん取れなくなっていたので、睡眠不足で便秘になっているのだと勘違いしていた。

3つ目の原因は、そもそも睡眠薬の常用期間に断薬したことがないからだ。

睡眠薬の常用期間は、不眠が怖く、減薬しても、断薬はなかなかできない。しかし、断薬するか、大幅減薬すると、離脱が一気に生じる。ある患者は、肩が硬直し、ある患者は不安が増幅し訳もわからず恐怖感に苛まれる。ある患者は、動悸がして、胸が苦しくなり、頭が締め付けられる。ある患者は、消化器系の不調が発症する。

ただ、離脱を自覚していないベンゾの常用者が離脱が発症するまで断薬を続けることができるかは疑問だ。僕は「離脱」の概念でさえ知らなかったし、多分、言葉は知っていても実態を理解できていなかったので、離脱を体験するために断薬しようとは絶対思わなかったろう。

こう考えると、離脱は不眠で生じていると思えるレベルを超えて悪化しない限り気づかないことになる。それ以外の場合は、不眠や加齢が原因だと勘違いするはずだ。実際、僕はそうだった。

あとは、経験者が離脱の恐ろしさを教えてあげるしか方法はない。

離脱は意外に気づかない” への2件のフィードバック

  1. shinさん、こんばんは。

    3つの原因、まさにその通り。

    一度向精神薬を飲み始めると、長く患い、引き返せない理由が、薬そのものにあるということ。

    この恐ろしい仕組みに気付き、絶対に回復してみせると決心した人は死に物狂いで断薬を継続していくんですよね。

    「日にち薬」しか効果がないのが悔しいですね。

    shinさん、あまりに辛そうで頑張れとは言えません。

    身体と相談しながら一日をどうにか乗り切って下さいね。

    1. ゆうさん、こんちは。

      ありがとうございます。
      正直、諦め気味です。やはい、僕の不眠症は治らないかもしれません。

      しかし、だからといって再服用する道は無いと思っています。

      もう待つしか無いので、ただひたすら待とうと思います。

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