疲労欲求

「疲れたい」

あまり日本語では聞かない言い回しだ。疲れは自然発生的に感じるものなので、疲れという動詞に欲求を示す助動詞「たい」を普通はつけない。

しかし、ベンゾ依存が最悪レベルになると疲れたくても、疲れない、気味の悪い状態に陥る。登山を14時間しても、海外旅行を1週間してヘトヘトになっていても、有酸素運動をいつもの倍やっても、疲れない。疲れない状態は、だんだんと進化し、眠気も感じなくなってくる。その感覚たるや、自分のことなのに、気味が悪い状態なのだ。

その時初めて、疲労欲求とでも呼べる感情を持ったのを覚えている。

私は、もう疲れを感じなくなってから既に5年になる。最初は、老化で疲れを感じなくなってきたのかと思った。しかし、それにしては随分と早いなあなどと思っていた。最初は、ビーチリゾートで1日中泳いで、ダイビングし、ジョギングして、これでもかと言うほど遊ぶ。すべて、ぐっすり眠るためだ。しかし、疲れない。いや、正確に言うと疲れを感じないのだ。動かし続けた足や腕は、動きが鈍くなっている。しかし、筋肉痛が出ない。南国で遊んだ後特有の気怠い疲労感が起きないのだ。

その後、14時間の登山に、前夜は殆ど眠らないで行ったこともあった。その時も、なんとなく疲れている感じはあるのだが、疲労感がない。そして、ハイになって睡眠薬を飲んでもいつものように眠れない。

この疲労感がない状態は、日常生活でも顕著になってくる。以前は、絶不眠が続くと疲れを感じたが、絶不眠が続いても全く疲労感が無いのだ。もちろん眠気も感じず、反対に真夜中でもどんどんハイになってくる。本当に、気味が悪い状態だった。

当時は、どうしてこういう状態になるのか全く理解ができなかった。医師に話すと、不安が強いので、抗不安剤を飲んでみたらどうかという話になる。しかし、それでは治らないことは、ほぼ推測がついていた。しかし、なぜ疲れを感じないのか、ねぜ絶不眠を続けても眠気を感じず、ハイになるのか、全く理解できず、怖くて、気が狂いそうだった。

医師は全く当てにならないし、誰にも相談できない。知恵袋などで相談しても、「数日眠れなくても死ぬことはありません。適度な運動を行い、カフェインや寝る前のスマホを控えていれば1週間くらいで眠れるはずです」などという、不眠症のことがわかっていない、お気楽な回答ばかりだ。どうすればいいのか、当時は全くわからなかった。このまま、睡眠薬を一生飲み続けられるのだろうか?もう既に眠れなくなってきているし、このまま飲み続けていたら、必ず眠れなくなる日がくる。そうしたら、どうすればいいのだろうか?なんだか、どんどん睡眠薬にコーナーへ追い詰められていくような気がして、毎日怯えて暮らしていた。

睡眠薬依存が進むと、疲労を感じないのは、おそらくGABA受容体が退化し、鎮静効果が発現せず、代わりにドーパミンが24時間分泌促進されてしまっているせいだと思われる。これと同じ理屈で、肩の硬直なども依存が進むと、ある時点から常態化してしまうのだろう。疲労感欠如も一種の離脱症状なのだろう。

疲労欲求は、睡眠薬依存が最悪期に入ったサインだ。私は、それが全くわからず5年近く放置しておいた。疲労感、眠気を感じることができないのは、睡眠薬が原因であることを早く気づいて欲しい。

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