マイスリー(ゾルピデム)の誤解

マイスリーを処方する際に、医師がよく言う説明で、「マイスリーはベンゾと比べると耐性がつきにくく、安全な薬ですから飲み続けても大丈夫ですよ。」というのではないだろうか?

そんなのは真っ赤な嘘なので信じないことだ。

話は横にそれるが、私達非医療関係者は、「医師が教える…」、「薬剤師が教える….」などのタイトルを見ると、思わず信頼性が高いと思ってしまう。しかし、不眠症に関しては医療関係者に近い程、大嘘なことが多く、「名医が教える….」と書かれていたら「メガ嘘つきが教える」と読み直したほうが良い。

マイスリーやアモバンなどは「非ベンゾジアゼピン系」と分類される。「非」とは「ではない」ということだ。安全だということではないのだ。ところが、私達はベンゾ以外であれば安全だと勘違いしてしまうのだ。しかし、睡眠薬の歴史を遡ると、ベンゾも1960年代に、危険薬として非バルビツール系薬として安全薬として登場してきたことをご存知だろうか?当時は、ベンゾも安全な薬として正義の味方のごとく登場したのだ。非バルビツール系睡眠薬というのは、安全という意味ではない。バルビツールではない、別の危険な睡眠薬だという意味である。

これは、非ベンゾ系も同じである。非ベンゾ系は、「ベンゾではない危険な睡眠薬」といっているだけで、安全だと言っているわけではないのだ。

マイスリーやアモバンは、脳内の眠りに関連するベンゾジアゼピン1(BZD1)受容体に作用し、入眠効果を促進する。BZD受容体に作用するならベンゾと一緒ではないか。つまり、殆どハルシオンやデパスと作用機序が変わらないのだ。何をもって、医師たちは安全だと言っているのか全く理解不能だ。おそらく、薬屋の受け売りだと私は思う。

そして、この薬によって離脱も発現する。その離脱は、ベンゾと全く同じだ。マイスリーは、他の睡眠薬と同様、大きく睡眠促進、抗不安、筋弛緩、抗てんかん作用がある。そして、離脱が発症すると、これらが一気に逆作用をもたらす。不眠は悪化し、不安は増大し、筋肉は硬直する。患者は、個体差はあるがこれらの離脱の組み合わせに長く苦しまされることになる。

マイスリーを安全な薬などと信じないほうがいい。

「でも、今飲んでいて離脱は発症していないし、服用しないと日常生活ができなくなるから」

という人が殆どだろう。私もそうだった。僕はそういう人に説得しようとは思わない。それは、貴方が決めることである。ただ、「どうして不眠が良くならないのだろう?」、「なんか調子が悪い」、「イライラして不安だ」と感じたらこの話を思い出して欲しい。

安全な睡眠薬など存在しない。存在するとしたら、全く効果のない睡眠薬だ。

もう一度言う。マイスリーは、ベンゾと同様、危険な睡眠薬だ。

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マイスリー(ゾルピデム)の誤解” への4件のフィードバック

  1. タイトルについてですが、マイスリー=ゾルピデム、デパス=エチゾラムですね。(細かいツッコミすいません・・・)

    デパスも厳密にはベンゾではないですが、やはり同等の作用なので同列に挙げられますよね。(下手するとベンゾより強力)

    SSRIも副作用が少ないという触れ込みで出たものの実際にはそんな事もないし、覚せい剤と呼ばれるものもほとんどは当初医薬品として開発されたものだし、薬の安全性なんて結局製薬会社の都合でコロコロ変わりますね。脳に作用する薬は本当に怖いです。

    ベンゾもここ数年でようやく厚生省も注意喚起出してるので、10年後ぐらいには処方禁止になる可能性もゼロではないかもですね

    1. danさん、こんにちは。

      >タイトルについてですが、マイスリー=ゾルピデム、デパス=エチゾラムですね。(細かいツッコミすいません・・・)

      細かくないです。大間違いですよね😅。ありがとうございます。すぐに、訂正いたします。
      ご指摘、ありがとうございます。

      >ベンゾもここ数年でようやく厚生省も注意喚起出してるので、10年後ぐらいには処方禁止になる可能性もゼロではないかもですね

      そうですね。ただ、僕はそれも非ベンゾ薬のマーケティングとしてのプロモーションだと思っています。
      睡眠薬というか、薬の歴史なんてそういうもんでしょう。

  2. 大筋に問題はありません。細かなことを申し上げると……

    > 脳内の眠りに関連するベンゾジアゼピン1(BZD1)受容体に作用し、
    > 入眠効果を促進する。BZD受容体に作用するならベンゾと一緒ではないか

    とありますが、正確には異なります。

    依存に強くもたらすのがω2受容体であり、純粋にω1だけだと依存は非常に少ないことになります。問題は、ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンは、ω1受容体への選択性が比較的高く、それを根拠に「依存が少ない」と語られたこと。実際にはω2にも作用し、依存も生じうる点に理論と実際の乖離が生じているといえます。
    とはいえ、結論は同じであり、ベンゾジアゼピンの安易な使用には注意が必要です。

    1. 松崎さん、こんにちは。

      ご指摘ありがとうございます。

      おっしゃると通りだと思います。
      ω1受容体でもω2でも、依存が形成され離脱が発現することが我々患者にとってもっとも重要なのです。

      ご指摘ありがとうございます。

      松崎さんは、医療関係者なんですね。

      ご存知だと思いますが、不眠症患者やうつ病患者は、医師の誤診と無責任な睡眠薬、向精神薬処方で
      症状をどんどん悪化させ、原因もわからないまま社会から孤立しています。

      精神医療現場で、極力、睡眠薬、向精神薬を使わない治療法を開発して頂きたい。できないなら、治療は
      しない方がまだマシだと思います。

      睡眠薬や向精神薬は、耐性を形成しながら離脱を発症し、最終的には「死にたくなる薬」です。こんなものを
      治療薬として使い続ける自体、現在の精神医療は間違っていると思います。

      松崎さんは、私のようなブログにコメントして頂ける方なので、心ある医師だと察しております。
      患者の声を医療界にお伝えいただければ幸いです。

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