睡眠薬や向精神薬の耐性の誤解

睡眠薬や向精神薬は暫く服用していると効かなくなってくる。例えば、私の服用していたハルシオンは1ヶ月も服用していると、最初は気絶するように入眠し、深い眠りがそのまま続くのだが、途中で中途覚醒してまた眠るというような感じで効かなくなってくる。そのうち、だんだん中途覚醒の回数が多くなってきて、1年も使い続けると他の睡眠薬を併用して朝まで眠れるように薬を組み合わせていくが、それも3ヶ月も持たない。睡眠薬の魔の無限ループはこうして悪化していく。

入眠時の筋肉を弛緩させる目的で飲み始めたデパスも同様だ。最初は服用して30分もすると、強張った肩や首が嘘のように軽くなり、ハルシオンやルネスタなどと併用することによって、スムーズに入眠できる。しかし、それも1ヶ月は続かない。最初は効かなくなったというよりは、少し効き目が薄れたという感じから、だんだんと服用しても痛みが半分くらいしか軽減しないと感じるようになってくる。その頃になると、なぜか服用していない時間帯の肩や首の痛みが以前より酷くなっている。しかし、本人は睡眠不足で筋肉の硬直が悪化しているのだとしか思わないのだ。

そして、私は、この薬が効かなくなる状態耐性という言葉で理解したつもりになっていた。しかし、不眠症患者にとって耐性とは薬が効かなくなる状態ではない。睡眠薬における「耐性がつく」とは、「脳に障害を生じ過興奮の状態になっていること」にほかならない。脳が過興奮の状態だから、不眠は悪化し、精神不安に陥り、筋肉の硬直が悪化するのは当然の成り行きだ。睡眠薬を変え、増やすことを続けるのは、この魔のサイクルを繰り返しながら症状を悪化させていることなのだ。つまり、睡眠薬の耐性とは脳に障害を与え不眠と体調を悪化させていることなのである。

耐性とはあたかも身体が睡眠薬に順応したようなイメージを持つ。順応するというと、自然治癒力に近い、何か肯定的なイメージを持ちやすい。しかし、それは大間違いだ。耐性といわれている現象の裏で起きているのは、睡眠薬による脳の機能破壊なのである。

私は耐性について何度もブログで書いている。なぜなら、私が最も誤解し、軽くみていたのが睡眠薬の耐性だったからだ。この耐性という言葉で隠された恐ろしい事実を知っていれば、これほど長い間、不眠症の苦しみに苛まれることはなかっただろう。

他の病のことはわからない。しかし、睡眠薬の耐性とは医療業界にとって非常に使いやすい言葉である。医者に「ハルシオンに耐性ができてしまったんですね。それじゃあルネスタを出して様子を見ましょう。」と言われても、患者は字面のとおり、そのまま理解してしまう。しかし、その意味は「ハルシオンで脳の障害が生じたんですね。それでは、ルネスタで脳の他の機能に障害を生じさせましょう。」といわれているようなものなのだ。

不眠症で悩んでいる方は、睡眠薬も向精神薬も絶対に手を出さないほうがいい。既に常用している患者は、少しづつでも減薬する努力をしたほうがいい。これが10年以上不眠症に苦しみ、一時は希死念慮に取り憑かれ死を覚悟するまで落ちた私が伝えたいメッセージだ。

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