睡眠薬の魔の無限ループ

私が運営する不眠症克服グループというオープンチャットがある。2ヶ月前ほどだろうかオープンし、殆ど宣伝していないが既に20名のメンバーが集まり、ほぼ毎日、お互いに励ましのコメントを交わしている。

多くの場合、眠れないという悩みの共有や睡眠薬を使って何時間眠れたという報告だったりする。殆どんのメンバーの不眠レベルはまだ軽く、6〜8時間睡眠を必死に取ろうと試行錯誤しているレベルだろう。

私は、そういうメンバーのコメントを見ながら、盛り上がっているに悪いとは思うが、やはり「睡眠時間を取ることにあまり固執しない方が良い」というメッセージをしてしまう。黙っては見ていられないのだ。このチャットは、不眠症回復を目的にオープンした。しかし、多くのメンバーは睡眠薬の精神的・肉体的依存を高めている真っ最中で、まだ大した離脱も経験していない。運が良ければ、単に眠れないだけで一生睡眠薬を依存することになる。しかし、睡眠薬を常用する50%以上の不眠症患者は、これから、何年もかけて廃人状態になるとは、おそらく全く考えていない。

睡眠薬が効いて、眠ることができるようになれば、それで安定して眠れるようになれば、少しづつ睡眠薬を減薬できると思ってしまう。しかし、そんなに減薬は簡単にできない。しかも、減薬には信じられないような離脱を伴う。

殆どの人は、睡眠薬の減薬がある程度進まないと離脱に気づかない。睡眠薬の血中濃度がある一定レベル以下になると、離脱は一気に貴方の精神と身体を襲ってくる。

睡眠薬や向精神薬の依存は甘くない。長期の絶不眠になるくらいなら、まだマシなほうで、最悪期はガンの末期症状のようになる。信じられないくらいの体調や精神的な不調に陥り、最終的にはアカシジアになり、自殺願望が頭から離れなくなる。アカシジアは、この世の生き地獄そのものだ。とにかく、精神的に不安定になり、絶不眠がデファクト化し、体中が痛くなり、何も食べられず、めまいと耳鳴りが続き、動いていないと自分が消えそうな恐怖に襲われ、じっとしていられなくなる。

私は、2年前にアカシジアに2週間襲われたが、もちろん一睡もせず、殆ど何も食べず、ひたすら歩き続けていた。夜は−20度近い厳寒猛吹雪の札幌の街を夜中の2時から4時くらいまで歩いていたこともある。

こんな辛い経験も、すべて「8時間すっきり眠りたい」というシンプルな願望から睡眠薬を常用し始めた結果だった。そして、6年後に死神にとりつかれたような状態になった。

あの時、誰かが睡眠薬自体が不眠や体調不良の原因だと強く言ってくれたら私はこれほど辛い思いをせずに済んだはずだ。

睡眠薬の魔の無限ループから抜け出すには、強い意志を持って断薬に望むこと以外は方法がないことをよく肝に命じたほうが良い。

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