断薬後の不安と減薬中の達成感

不眠症のぴよどりさんのブログを拝読していて、下記の文書にハッとした。

「断薬の苦しさは「いつになったら不眠(離脱症状)が治るのか分からない」という不安、これに尽きます。それに対して、減薬(特にゆっくりとした水溶液減薬)は、たとえ苦しい時があったとしても、ゴール(薬無しで眠れる)まで着実に近づいているという安心感があります。この違いは大きいと思います。」

確かに、減薬中と断薬後は精神状態が全く違う。おまけに、症状の経過も違うのだ。

減薬中は、苦しいことがあっても、断薬をするというゴールがあり、その先には快方が待っているという期待がある。期待や希望があるから、ゴールに向かう苦痛も耐えられるのだ。

そして、実際、体調も変化する。僕の場合、減薬当初は便秘、肩の硬直が劇的に緩和し、睡眠時間も伸び、安定した時期もあった。今考えると、睡眠薬を減らしたのに、本当に不思議である。しかし、3ヶ月もすると症状は良悪を繰り返し、だんだん悪化していった。症状が良くも悪くも変化が目まぐるしい。表現がおかしいかもしれないが、症状の変化で毎日飽きないのだ。

この減薬中の体調変化は、おそらくベンゾの血中濃度が減薬により毎日低下していくのと同時に、日中の血中濃度も変化から生じるものだと推測する。

様々な体調変化はあっても、減薬中はベンゾが身体から抜ければ体調は良くなるだろうという希望に満ちている。だから、ゴールに向かって突き進めるのだ。減薬は、その過程にいくつもの難関があり、それを乗り越えてゴールに向かう達成感のようなものがある。だから、辛くても耐えることができるし、オーディエンスに伝えたいこともある。

一方、断薬後は減薬中とは全く違う精神状態だ。断薬という大きな目標を達成し、喜びもつかの間、1ヶ月もすると離脱症状が良くなることはなかった(僕の場合)。最初の1ヶ月は、就寝前の睡眠薬から開放された自由を満喫していた。また、慢性便秘が2週間適度で完全解消した。これで、肩の痛みも、不眠も時間の問題だとタカを括っていた。しかし、肩の痛みも不眠も一向に快方に向かうことはなく、返って悪化、固定化していった。

断薬後の不眠、肩の硬直などの離脱の悪化、固定化は、おそらく、ベンゾの血中濃度がほぼゼロで安定してしまった結果だ。ベンゾが身体から抜けているので、もちろん服用間離脱も起こらない。ベンゾが身体からほぼ抜けるのは、2〜4週間らしい。確かに、この時期は減薬時期ほどではなかったが、不眠や肩の硬直に変化が見られた。

しかし、1ヶ月くらい経つと、症状はほぼ固定化、3ヶ月目はかえって悪化していった。ベンゾが身体から抜けきったことで、脳の鎮静機能が最低レベルになってしまったのかもしれない。

こうなると「いつになったら不眠が治るのか?」という不安に襲われる。僕の場合、既に絶不眠が100日近い。こんな記録は、どのブログ、Youtubeの離脱報告ビデオを観ても見つからない。僕の知っている範囲では、不名誉な世界記録で、しかも、毎日どんどん記録を更新している。

そこに減薬時のようなゴールも無いし、達成感もない。断薬後は、長い長い緩慢に過ぎていく時間と不安との戦いだ。

断薬後は、快方、寛解そのものがゴールなのだ。減薬時のように「薬をゼロにする」というゴールを達成するための支援目標値がない。減薬時は、減薬というやらなくてはいけないことが存在し、変化する離脱に対応するべく、たぶん全く効果が無い認知行動療法、サプリメント、鍼灸、カイロ、整体、マッサージ、サウナ、温泉、ストレッチ….など様々な努力をした。しかし、これらが結局、殆ど効果がなく、時には症状を悪化させることを知ると、毎日風呂に入ること以外は何もしなくなった。

ある意味、症状の固定化は悪化より怖い。不眠と離脱の恒久化を意味するのではないかと思ってしまう。しかし、断薬後は一旦悪化して固定化すると、そこからは殆ど症状が変わらない。

だから、断薬後は少しでも最悪レベルまで達した不眠と肩の硬直が少しでも軽減してくれることのみが快方へのバロメーターなのだ。そして、その方法はただひたすらに待つことしかできないのだ。これが思いの外辛いのだ。

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断薬後の不安と減薬中の達成感” への2件のフィードバック

  1. ぴよどりです。
    ブログを見ていただいて、ありがとうございます。

    いつ寛解するか分からない不安、つらいですよね。
    「はるのさんぽ」さんのように、徐々にでも良くなっている実感があったら、耐えられそうなんですが。

    私のブログの内容で、shinさんに断薬継続か?再服薬か?と迷わせてしまっていたら、すみません。
    個人的には絶不眠記録保持者になってほしい(笑)ですが、どの選択を取るにしても、応援しています。

    私は今、ときどき服薬しながら、基本、断薬で様子を見ています。
    何が自分にとってベストな方法なのか分かりませんが、日々模索しながら頑張っています。

    1. ピヨドリさん、おはようございます😃

      ブログに訪問して頂きありがとうございます。
      ピヨドリさんの考え方、とても参考になりましたよ。どうしても耐えられなくなったらまだその手もあるなあと改めて思いました。

      不眠はきついですが仲間がいれば知恵を出し合って、励ましてあって、なんとかサバイブできていけそうな気がします。

      ピヨドリさんの林業をやる夢、素敵だと思います。是非、不眠症を克服して叶えてください^_^。

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