以前、私が運営しているチャットで減薬時に病院はあてにならないので、心の拠り所が欲しいという話題がでたことがあった。私は、ゲストハウスによく泊まるが、湯治場のようなゲストハウスがあったら、そこで減薬の一番辛い時期を過ごしたかったというような話をすると、メンバーの1人から自分が引退後に社会貢献としてゲストハウスでもやろうかなあなどという話も出て盛り上がった。
そういう不眠症患者向けのゲストハウスが各県に1つでもあったらどれだけ救われるだろうと思う。
薬害不眠症の患者には、ネットもいいが、やはりリアルの心の拠り所が必要だと思う。薬害不眠症は、家族や友人、恋人でも理解してもらえない。やはり、医師のお墨付きのない病なので、説明しても、まず信じて貰えない。また、もし信じて貰えても、離脱などは自分ですら8年もわからなかったのに、他人にいくら説明しても到底わかってもらえない。
確かに、首や肩周りの硬直やうつ症状、慢性便秘、めまいなど、様々な離脱があるがこれがどうして睡眠薬と関係しているのか?、睡眠薬と関係しているとしても、それがどうして睡眠薬を断薬しても回復するどころか、悪化するのか?など、本人もわからないのに、自分以外の人が理解するのは到底無理である。
この薬害不眠症で苦しむ人の事情を理解し、見守ってくれる人や同様に戦う人に会えるだけで、不眠症の1〜2割は解決したようなものだ。
私も不眠症患者にやさしいゲストハウスがあったら本当に行きたかったし、おそらく、今でも定期的に月1くらいで泊まりに行きたいくらいだ。私の場合、そういう意味で登別のゲストハウスを自分の療養所と位置づけ、そのスタッフが私の回復を見守ってくれていると勝手に思って温泉に定期的に通っている。
しかし、実際は誰も私の不眠症のことなど知らないのだが。
私の中では、不眠症に必要な療養所(ゲストハウス、宿泊所)は、いくつかの条件がある。
1.温泉街に近いこと
2.雄大な自然があること
3.料金が安いこと(3000〜5000円/日)
4. 一般の人も宿泊していること
5. 宿泊者と軽いコミュニケーションがあること
6. 至近に公園などの運動のできる場所があること
上記の条件で、1と5は必須だ。離脱がひどい時は、何をしても効果がない。温泉にでも入りながら時間を潰すしか無いのだ。温泉に入っても離脱は軽減しないが、気をそらすことは可能だ。また、離脱がひどい時は、精神状態も落ちることが多い。そういう時は、人には会いたくないものだ。それでも、やはり人となるべく接している方が、私は良いと思う。ゲストハウスでは、会話はしなくても、洗面所やシャワールームが共同なので、挨拶くらいは嫌でもしなければならない。しかし、離脱のひどい時はそれで十分だ。
特に離脱のひどい時や減薬を始める時、断薬後の離脱悪化時期の以下の期間は身を寄せたかった。
- 劇症型離脱期間 2017年12月〜2018年3月
- 本格的に減薬期 2018年7月〜2019年1月
- 断薬後の離脱悪化時期 2019年3月〜5月
私の場合、2で登別のゲストハウスを見つけたのだが、1の時は家に引きこもっていた。この時は、本当に苦しかった。もしかすると、ゲストハウスに連泊していたら、温泉に何度も浸かったり、公園を走ったりして、あれほど苦しまなかったかもしれないとも思う。私は一人暮らしのせいもあり、どうしても引き篭もりがちになり、食事もロクにとらず症状を悪化させてしまったような気がする。
そして、登別のゲストハウスに薬害不眠症の事情の理解者が居てくれたら、どんなに心強かっただろうと勝手に思う。ゲストハウスは、バックパッカーのためのものであって、不眠症患者のものではないのだが…。
最近では、不眠症がidentityになりつつある。この病を乗り越えるためのリアルな避難所が欲しいと思うのは私だけであろうか?