絶不眠とどう向き合うか

最近、断薬したいが絶不眠が3日も続くと気が狂いそうになるが、どうしたらいいのかという問い合わせを複数貰った。僕は絶不眠専門家になってしまったのだろうか?そこで、今日は、断薬で直面する絶不眠について、私の体験から、絶不眠の勘違い、絶不眠=トレードオフ、絶不眠の対処法、絶不眠とサプリについてまとめておく。

断薬をする場合、最も減薬が困難なのが睡眠薬だそうだ。

向精神薬の場合、減薬すると離脱が波のように襲ってくるが、段々と主症状は緩和されてくるので、減薬の効果を感じながら断薬を目指すことができる。

しかし、睡眠薬の場合、減薬を進めれば、進めるほど不眠は悪化していき、減薬の途中で絶不眠に直面する。人間は、それまでの習慣で病や体調不全はすべて睡眠から来ていると信じ込んでいるし、医師も得意のテキトウな常識でそう答えるから患者も信じて、絶不眠に恐怖を感じるのだ。だから、睡眠薬の減薬は、途中で絶不眠への恐怖感から中止、再服用を繰り返すことが多い。僕も過去10年間何度も挑戦しては、再服用、増薬を繰り返してきた。

僕は、医師が処方するベンゾも問題だと思うが、睡眠に対して「スタンフォード大学睡眠研究課修了」などと肩書を振りかざし、実は何の実践的な知識もないのに、患者に最もらしく睡眠について知ったかぶりして、説明している方が問題だと思う。

話をもとに戻すと、断薬をする際に、絶不眠について思いを巡らせると思うので、まずは絶不眠の勘違いについてまとめておきたいと思う。

【絶不眠の勘違い】

  1. 絶不眠を2週間続けると死ぬか?

死なない。

しかし、ネットの情報だと絶不眠連続日の世界記録は2週間で、それ以上続けると生命の危険があるか、頭がおかしくなると書いてあるのを目にする。また、医師の著書を見ても、同じ実験について書かれていて、やはり精神的に異常をきたす可能性が高いなどと、無責任きわまりない書き方がしてある。

では、彼等は本当に2週間以上眠っていない患者を観察して言っているのであろうか?答えは否である。書籍などで「医師が教える」というフレーズがあるが、あれは「すべてテキトーな」と置き換えて読んだほうが良いと思う。

僕は、脳波検査はしていないが130日以上一睡もしていない。しかし、生きている。これが事実だ。

最初の3週間程は、毎日気が狂いそうだったので寝転がりながらDAZNを観ていたので、おそらく脳波的にも眠っていないはずだ。しかし、死んでもいないし、気がおかしくもなっていない。

医者は、睡眠薬を処方するために不眠症患者を恐怖に陥れるようなテキトーなことを言わないで欲しい。

2. 絶不眠を続けるとどうなるか?

日常生活の稼働率が60〜70%に落ち着いていくのが答えだ。

絶不眠になって最初の1〜2週間くらいは、とてもきつい。身体が怠く、身体が冷え、消化器系の働きも悪くなる。日中もぼんやりとしている。肉体的にもきついが、精神的にはもっときつい。とにかく、未知の永遠に続くかもしれない絶不眠に足を踏み込んでしまったような恐怖を覚える。ところが、1ヶ月もすると身体が絶不眠に慣れ、精神的にも楽になってくるのだ。

これは、本当に不思議なのだが眠らなくても身体も怠くないし、消化器系の働きも悪くならない。横になっているだけで、頭も身体もある程度休めることができる。感覚的には、健常時の6〜7割のパフォーマンスで日常生活を送ることができるのだ。

私は、睡眠薬常用時に絶不眠が3日も続くと、車の運転が危なくてできなかった。しかし、絶不眠になってからは車の運転で危ないと感じたことがないし、反射神経が鈍ったこともない。絶不眠でも、断薬後は、体内のベンゾが切れた結果、身体のダルさやぼーっとした感覚はなくなった。特に10時間を超す長距離ドライブでは、眠くならないので、返って危険は減ったくらいだ。

また、絶不眠を5ヶ月も続けているのに、体調は概ね回復してきている。まず、睡眠薬の常用末期のうつ状態は全く発現しない。胸のざわつき、めまい、ふらつき、吐き気、食欲不振、慢性便秘、下痢、喉のぶつぶつ、悪寒、涙、ヒステリー球、火照り….など、常用時に発現していた様々な体調不良は、すべて解消した。

唯一、離脱症状として悪化、固定化しているのは肩の硬直だけだ。これは、全くよくならない。今でも24時間ボキボキと音を立て、痛くて涙がでそうだ。特に左の肩の激痛はひどく、肩が上がらない。

3.絶不眠のときはどうしているのか?

夜は、横になりじっとしている。

そうすることにより、身体も頭も、ある程度休息を取ることができる。やはり、ずっと起きていると身体は休まらない。背中や腰に負担がかかり、痛みが発生する。だから、夜は22〜24時頃に床に入り7時に起き上がるようにしている。

しかし、やはり絶不眠を毎日続けていると、健常者のように9〜6時で働き続けることは難しい。私の場合、会社に事情を説明し、疲れが溜まると、午前中は1〜2時間遅れて出社させてもらっている。完全絶不眠になってからは5ヶ月、しかし、半絶不眠になってからは既に7ヶ月近く経っている。さすがに、普通に働くと身体が持たないのだ。

【絶不眠はトレードオフ】

絶不眠は、断薬のトレードオフであるということを明確に認識する必要がある。

絶不眠の記録でも作りたい欲求が無い限り、絶不眠は誰も経験したい人はいないだろう。絶不眠を覚悟で断薬を始める場合、断薬をすることで得られるメリット(回復)が絶不眠を受け入れることより大きくなければならない。絶不眠は、期待できるより大きな回復のトレードオフでなければならない。

受けられるメリットは、もちろん睡眠の回復である。しかし、断薬を進めていくと、睡眠回復課程で不眠悪化か絶不眠は必ずやってくる。睡眠を改善するために絶不眠を受け入れるというのは、一見、矛盾しているようだが、薬害不眠症の場合、まずは絶不眠(不眠悪化)を受け入れないと睡眠は改善しない。

私の場合、断薬を始める当初、睡眠が回復するという確信は無かった。しかし、肩の激痛は、断薬により良くなるのではないかという期待をブログ情報などで持てるようになっていた。また、その他の体調不良は、断薬によって解消できるという確信もあった。絶不眠を受け入れても、肩の激痛を含めた体調不良がすべて解消すれば、なんとか生きていけるのではないかというイメージを持つことができた。

つまり、体調不良解消 > 絶不眠 という関係ははっきりしていた。このイメージがはっきりしていれば、この先眠れなくても、体調がすべて回復した方が快適な生活ができるというイメージが明確に持てると、断薬への心のチェックアウトは簡単にできる。しかし、このイメージがはっきり持てないと、「医師になんと説明しよう?」、「断薬が終わって、不眠も体調も回復しなかったらどうしよう?」、「家族になんて言おう?」と何とか断薬を実行しないで済む理由を探そうとする。そして、ウジウジと悩んで時間だけが経過していく。

不眠は貴方自信の問題である。

今まで全く役に立たなかった医師の問題ではない。厳しいようだが、家族の問題でもない。残念だが、実績として不眠の改善に、医師や家族は何もわかっていないのだから、今後も意思決定の材料にすること自体が間違っている。私も含め貴方の不眠症は、誰の問題でもない、貴方の問題なのだ。そして、そういった他人任せの間違った意思決定の積み重ねの結果が不眠症の悪化なのだ。

不眠の治療=断薬は、まずは意思決定を他力本願にする無責任な自分との戦いから始まるのだ。

【絶不眠の対処法】

絶不眠は、慣れるしか無い。絶不眠が連続して1〜2週間は気がおかしくなりそうになるが、それを過ぎると慣れてくる。脳も身体も横になっているだけで、なんとか日常生活を稼働率60〜70%で過ごせるようになる。僕は、毎日運転もしているし、ジョギングもしている。1ヶ月に1回は小旅行もしているし、年に1〜2回は海外旅行もしている。かなり身体が気だるく、辛いこともあるが、絶不眠が続いても日常生活はできるのだ。

それでも、絶不眠の疲れが溜まると身体が痛くて、鉛のように重たくなり動けなくなることがある。そういう場合は、横になっている。なるべく、昼間は横にならず、夜早目に横になっている。最近は、24時以降に就寝しているが、その就寝時間を21〜23時頃にずらし、横になっている時間を増やし、休息を取るのだ。こうすることにより、身体も頭も休めることができる。スッキリはしないが、翌日は稼働率が上がっている。

【絶不眠とサプリ】

これは個人差があると思うので、それを考慮して参考にして欲しい。

GABA、トリプトファン、メラトニン、5HTP、ビタミンC、B、B50、E、鉄、亜鉛、セント・ジョーンズ・ワート、ナイアシンなど、その他にも10種類以上のサプリメントを試したが、全く効果はない。

少なくとも私にとってサプリメントは気休め以外の効果は全くない。これは、アシュトン氏と全く同意見である。

絶不眠解消には効果がないものの、ナイアシンは肩の硬直の軽減、ビタミンCは風邪の初期には効果があった。しかし、不眠への効果は感じたことがないし、脈拍数的にも効果がでた兆候は全くなかった。

以上、絶不眠についてこの他にも疑問、心配事があったらコメントして欲しい。私の体験をもとに、都度、回答していく予定にしている。

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絶不眠とどう向き合うか” への2件のフィードバック

  1. 千日回峰行の達成者である法師さんの著書にあったことですが
    最後の9日間の堂入りで眠らないことが苦痛ではなく、姿勢を変えずに座禅をし、飲食ができないという苦痛のほうがよっぽど辛いとありました。世界を見渡せば、育児ノイローゼから50年間も眠らない男性や、兄弟を亡くしたショックで30年以上も眠らない女性なども存在するようです。不眠というのは研究途上であって、実際はあまり眠らなくても大丈夫なことも多いのかもしれません。結局は気にしすぎが一番よくないですね。

    1. 岡部さん、こんにちは。

      しかし、眠れないのを気にしないのは、正直難しいと思いますよ😅

      不眠がこの世で最も苦痛であるなら、絶不眠を受け入れるのは難しいかもしれません。
      だから、睡眠薬漬けになる人が多いんですよね。

      僕の場合、絶不眠よりずっと辛い肩の痛みがあったから断薬をできたのかもしれません。
      とにかく、肩の痛みや慢性便秘をなんとか軽減したいと思って、減薬を決意し、その先の断薬
      にたどり着き、その後の絶不眠にも耐えているわけです。

      何人の方が離脱で苦しいでいる僕を見て、再服用を勧めてくれました。僕も真剣に再服用を
      考えました。ただ、再服用すると、おそらくまず肩の痛みは軽減するかもしれませんが、また、
      今度は慢性便秘になって食欲がなくなるわけで、その苦しみをまた味わうのかと思うと、どうして
      も再服用できないのです。

      ただ、そこまで睡眠薬に対する拒否反応を頭と身体が覚えれば、僕は断薬は成功だと思います。
      例え、絶不眠が一生続こうと、離脱三昧な暮らしはもう御免です(^^)

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