もうこのテーマについては、おそらく5〜6回書いている。不眠の回復のステージによって、私の感じ方も変わっている。だから、当時、効果があったと思っていたことも、結局1ヶ月を通して考えると回復には全く効果がなかったなどということが結構ある。そして、20年以上の不眠症歴、10年の睡眠薬常用歴を経て、出す結論は、「不眠と離脱を軽減する有効な回復法は無いということだ。残念ながら、これらは長い苦しみの時間を耐えながら回復の時を待つしか無いのだ。
重要なのは、過度な期待をせず、上記のことを受け入れ治療に専念することだ。治療法が無いのに、何に専念すればいいのだろうか?おそらく、それは心が折れないよう強い意志を持つことと、睡眠薬を再服用しないことである。私が有効だと信じる回復法は、その2つしかない。
では、不眠と離脱の有効な緩和法はあるか?これも何度も書いたが、回復につながるような緩和法は無い。しかし、症状を軽減できるものはある。私が有効だと思った緩和法は以下の3つだ。
- 減薬時の服用頻度分散法
- 定期的且つ適度な運動
- 丁寧に生きる
1は具体的な減薬時の離脱軽減TIPSであり、2、3は常用時、減薬時、断薬後を通して、不眠症患者が送るべき日常生活の心得的なものである。正直、もっと具体的な方法を提示したかったのだが、どの方法も殆ど効果がなく、結局、最後に残ったのは2と3の生き方にも近いライフスタイルが一番、離脱に効果があったのだ。
以前、「デパス減薬・断薬の勘所」という記事にもしたが、1は、減薬時にかなり有効であった。具体的には、デパスの容量はそのままに、就寝前に飲んでいた服用回数を1日4回に分けた。1回あたりの服用量が少ないので、離脱を起こしやすい状態にはなるが、昼間の一番離脱の辛い時期にデパスを服用できるので、1日を通した離脱のゆらぎが緩和されトータルでは楽になるのだ。これで、服用間離脱はかなり緩和される。しかし、減薬による離脱は以前と変わらない。
減薬中は、減薬による離脱の悪化と終日起きる服用間離脱の2種類の離脱と戦わなければならない。簡単に言うと、服用頻度分散法を実施すると、減薬中に戦う離脱が減薬による離脱に限定されるのである。
こう書くと、離脱が軽くなるように思われるかもしれない。しかし、残念ながら離脱はイメージ的にわかりやすく伝えると、単純化しただけで、おそらくだが、辛度はあまりかわないので、そのへんは覚悟しておいたほうがいい。
2は、不眠症治療に限らず人間が生きていく上で、私は必須だと思っている。離脱により心や身体が病む時、最短で脱出するには、汗をかくのが一番良い。それも、サウナや岩盤浴などの受動的な汗では効果は殆どない。運動、特に有酸素運動をすると身体が整い、心が前向きになる。特に離脱が辛い時は、なおさらである。
3は、特に食事や部屋の掃除、洗濯など料理のことだ。男性は、こういったことをおろそかにしがちだ。特に体調が悪い時は、なおさらである。しかし、そういう時こそ、基本的な毎日の暮らしを丁寧にしていくと、離脱症状を紛らわすことができ、気持ちも前向きになれる。特に自分で作った食事は美味しい。私の場合、味噌や漬物、ほうじ茶にはお金をかけている。購入するときも、じっくり選び、あまり値段に気を使わずに良いものを試すことにしている。そんな小さいことでも、生活の充実感は上がる。特に料理をすると、料理器具や具材、食器などにもこだわりができてき、物に興味を持つようにもなる。こういった小さな欲望を継続的に持つには、1日3回する食事に気を使うのが一番良い。
以上、3つが私の離脱軽減法である。
私は、離脱を軽減するためにサプリメント、ビタミン、マッサージ、カイロプラクティク、整体、鍼灸、ヨガ、マインドフルネス、ベッド・マットレス交換(6回)、アロマ、カフェイン断ち、食事療法、電気療法…..など、もう何でも試したが、結局何の効果も無かった。人によっては、効果のある人もいるようだが、そういう方は大体、不眠症のレベルが私とは全然違うのだ。薬を飲まないと1週間以上、絶不眠が続くような人は、上記の方法を全部試しても眠れないし、離脱も軽減しないはずである。その理由は簡単で、不眠や離脱の原因が脳の障害であり、上記のどの方法でも脳の障害は回復しないからである。
結局、薬害不眠症はゆっくりと時間をかけて減薬し、待つことしか治療法はないのだ。そして、その時間をどう過ごすのかは、あなた次第なのだ。