先日、タイの精神科について質問を受けた。また、このところタイやバンコクを含むキーワードでこのサイトを訪問する人がなぜか増えている。その理由は定かではないが、おそらくタイを訪れたり、在住する日本人が増加しているからだろう。
そういう方達の参考のためにバンコクの不眠症治療体験についてまとめておく。私は、2017年7月下旬から1ヶ月程、通院を含めると6ヶ月、Bangkok HospitalとManarmon Hospitalというところで、不眠症治療を受けた。詳細は、カレンダーで2017年7月からブログを参照してもらいたい。
結論から言うと、バンコクの不眠治療は日本よりは信頼性が高く、説明責任も果たしていたが、やはり不眠症は悪化した。
いや、結局僕は不眠も離脱も日本以上に悪化してしまった。だから、不眠症でタイやバンコクの病院に行っても治療できる可能性はないと思ったほうがいいと思う。不眠症を薬を使わずに、患者に向き合って治療してくれる病院など、あったら、こちらが教えて欲しい。僕は、日本だけではなく、欧米でもそんな病院を聞いたことがない。医師個人のレベルで、アシュトン博士のような立派な医師もいるのだろうが、そんな奇跡的な出会いを信じないほうがいいと思う。
バンコクの病院で外国人の行くような病院は、とてつもなく高額だが、医療施設や医師は日本のレベルではない。検査機器やベッド、付き添い看護師など、信じられないようなサービスが受けられる。しかし、内容は日本と全く同じだ。
バンコクの病院のいいところは、診断を明記してくれ、治療方針をしっかり説明してくれるところだ。ここは、日本の医師とはまるで違う。日本の医師は、「どのくらいで治るんですか?」というと、「そんなことはわかりません。様子を見ながら薬を変えていきましょう」としか言わない。これで、殆の患者はベンゾ依存にされてしまうのだ。
一方、バンコクの医師は、「この薬を3ヶ月くらい続けて眠りが安定したら、少しづつ減薬していきましょう。トータルで最低で6ヶ月、長くて2年くらいかかります。」などと答えてくれる。まあ、この見立て自体が不眠と離脱をひどくするスケジュールなのだが…。
残念なことに、バンコクでも不眠症の治療は、投薬以外の方法はない。おそらく、どの国でも不眠の治療の方法論は確立されていないのだ。治療法が無いのに、患者を受け入れて、対処法で眠れる危険な薬を処方しているだけなのだ。
しかし、バンコクが日本の医師よりマシなのは、効かない薬や副作用の強い薬を1週間も2週間も処方しないことだ。日本の医者のように、チンタラチンタラと通院させない。変薬は1〜3日で行い、効果がなかったらスパッと変薬する。このおかげで患者の副作用は大変だが、長い間効かない薬でもんもんと治療期間を長引かせる必要はなくなる。
また、日本のように薬をさむだれ式に徐々に処方して、依存させていかず、薬を一気にどかっと処方する。これには、身体が強い拒否反応を示す。僕はこれを6ヶ月もの間我慢していたが、これはとてつもなく辛かった。
幸か不幸か、この向精神薬の大量処方の辛さに耐えられず一気断薬して、離脱の存在を知ったのは皮肉だ。
私の離脱発症は、ここから始まった。タイで睡眠薬が効かず、4種類の向精神薬を睡眠薬の代替薬として使ったことが離脱を自覚して、本格的に離脱と戦い出したきっかけだったのだ。
もし、バンコクで不眠治療をしていなかったら、少しづつ向精神薬を増やされながら、離脱とは気づかずに、もっと追い詰められていたかもしれないと怖くなる。そういう意味では、あのタイの精神科、睡眠外来のヤブ医者達には感謝している。皮肉なものだ。